「総理」を読んだ

小説のような生々しいドキュメントで、読みやすくかつ理路整然とした内容です。一記者がここまで官邸内部に食い込めるのかという驚愕も、著者のカンボジアなどでの取材経歴からすれば説得力が増します。常に国民はこういう事実を求めています。事実に基づかない偏向報道が多い日本のマスコミ業界の中に、このような人材が存在したことにまず、安堵感を覚えました。とはいえこの著者は、韓国軍のベトナム人慰安婦強要事件の事実をアメリカ公文書で発見し、自社のTBSで報道しようとしたらクビになった人物です。クビの理由は「報道内容が自社の反体制の姿勢にそぐわないから」だそうで、甚だ呆れ果てます。25年もエース記者として貢献した著者をバスっと切るTBSに憤り覚えると同時に、未だにそのTBSをぽかんと視聴している大多数の国民がいることに不安も覚えました。